LUNE(ルネ)
 
一音一音を大切に吐き出すアブストラクトK−POP 
DISCS


『ABSINTHE』



‘the memory of nobody’







LUNE(ルネ) / 1集  ('09)   CMCC-9021

 ロックバンド『Huckleberry Finn(韓国)』や『Swallow』のバックでキーボーディストとして参加していたルネ(lune)が09年3月、初めてのソロ作「Absinthe」を発表した。彼女の歌声は実に興味深い。口の中でこもらせながら喉元で共鳴が増幅する。声質を日本の歌手で例えるならUAに近いがR&Bの要素は皆無でヨーロッパの特に北の地方で奏でられる環境音楽・アブストラクトミュージックを背景にルネのたいまつの様にほのかに暖かな声が乗る。
 音楽関係者が彼女を見かけ始めたのはすでに5年以上も前からだそうで、その時はイ・ギヨン率いるHuckleberry Finnの猛烈なファンとしてライブ会場最前列を陣取っていたロック少女だった。
 ライブ終わりにメンバーに駆け寄りそれから次第にその輪の中に入った。06年頃にはHuckleberry Finnに加え04年から中心メンバー、イ・ギヨンのソロプロジェクトとして始動したバンドSwallowにもセッションミュージシャンとしてすでに彼女の姿があった。
 
ルネは大学に入り、自らのバンド用に1、2曲作詞作曲をし、自らの才能に目覚めたのだがそれを大先輩であり師匠でもあるイ・ギヨンが放っておく訳がなく、彼プロデュースの元、彼女の初ソロアルバムの制作が07年から始まった。





 
ルネが尊敬するアーティストとして挙げている歌手は3人。アイルランドが生んだ孤高のSSW、Sinead O'Connor。そして60年代の女性ロックカリスマ、Janis Joplin。そして皆さんご存知オルタナの祖であるNirvana。この三組を頭でぐるぐる混ぜるだけでなるほどルネに近い音楽が聞こえてくるから不思議。
 本人も、曲を聞いた感想が「
ルネ自身も知らない外国の歌手の誰々に似ている」と言われのが嬉しいそうだ。私の感想だが声の高さは違えども一音一音、噛み砕くように相手に聞かせるその歌唱はやはりSinead O'Connorスタイルといえるのかもしれない。
 今回09年3月に発売された1stは全11曲。女性新人にしては異例の全曲作詞作曲、つまりAll songs & lyrics by
ルネである。プロデューサーのイ・ギヨン自体、あまり深く介入せず彼女色を大切にし、全体の流れにそぐわない楽曲の選択とバック演奏、レコーディングだけに徹したという。最後になるが、ご想像通り、彼女の詞には社会的メッセージが多く含まれている。9曲目'太陽の最後'はアフガニスタン戦争に関するドキュメンタリーに出てきた孤児を見て作った歌であるし7曲目'He Sells Me'も資本市場主義が美しく包装して愛を語っているのを見て「あまりにも商業的な世界の中で無力で弱気な人々が売られていっている」と感じて書き上げたシニカルな歌詞世界だ。


 

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